ロールモデル2:赤坂 真奈美 先生(医学部)岩手医科大学-研究者支援室設置準備委員会
category : 岩手医科大学の教職員・医療従事者ロールモデル, 新着情報 2019.7.25
<赤坂 真奈美(あかさか まなみ):医学部 小児科学講座 教授>
プロフィール
・出身地 岩手県旧川井村
・1987年 盛岡第一高校卒業
・1993年 自治医科大学卒業(義務履行:県立福岡病院・国保田老病院・附馬牛診療所・県立住田病院・県立千厩病院 勤務)
・2005年~岩手医科大学小児科 専門:小児神経分野(小児科学講座HP)
・2008年 医学博士(学位論文:学術論文5)
・2011年 岩手県自治医科大学卒業女性医師の会会長
・2015年 岩手医大小児科専攻医プログラム作成責任者
・2016年 岩手県医師会少子化対策委員
専門医
・日本小児科学会専門医
・指導医日本小児神経学会専門医
研究活動
<研究テーマ>
早産・低出生体重児Proton magnetic resonance spectroscopyによる脳内生化学的評価
<代表的な研究業績>
〇学術論文
1. Akasaka M, Kamei A, Araya N, Asami M, Tanifuji S, Oyama K. Evaluation of self-esteem in school-age children with cerebral palsy and the difference in brain metabolites assessed using magnetic resonance spectroscopy in preterm infants. Folia Palliatrica (2018) 2: 24-32.
2. Akasaka M, Kamei A, Araya N, Oyama K, Sasaki M. Characteristic proton magnetic resonance spectroscopy in glucose transporter type 1 deficiency syndrome. Pediatr Int. (2018) 60: 978-979. [PubMed]
3. Akasaka M, Kamei A, Araya N, Matsumoto A, Konishi Y, Sotodate G, Shirasawa S, Toya Y, Kasai T, Chida S, Sasaki M. Assessing Temporal Brain Metabolite Changes in Preterm Infants Using Multivoxel Magnetic Resonance Spectroscopy. Magn Reson Med Sci. (2016) 15: 187-192. [PubMed]
4. 赤坂真奈美、他. 乳児ボツリヌス症の2 例.日小児救急医会誌 (2011) 10: 71-75.
5. 赤坂真奈美、他.脳室周囲白質軟化症の頭部MRI所見と発達予後のロジスティック回帰分析.日未熟児新生児会誌 (2008) 20: 223-231.
6. 赤坂真奈美、他.育児過誤によるskaken baby syndromeの4例.小児保健研究 (2003) 62: 73-80.
〇書籍
1. 赤坂真奈美、千田勝一:ボツリヌス 小児感染症学学改定第2版;岡部信彦編、診断と治療社 (2011) 128-131.
〇研究費
1. 赤坂真奈美(代表)日本学術振興会「基盤研究(C)」2018-2020:磁気共鳴分光法を用いた脳内代謝物質による新生児重症仮死の高精度予後予測法の確立
2. 赤坂真奈美(代表)日本学術振興会「基盤研究(C)」2011-2013:7T 超高解像度MRSを用いた早産児における微細大脳皮質障害の無侵襲評価法の確立
3. 赤坂真奈美(代表)森永奉仕会奨励金 2006:脳室周囲白質軟化症の急性期脳MRIと学童期予後との比較
〇受賞歴
1. 2005年4月 日本小児科学会 イーライリリー賞(学術論文6にて受賞)
2. 2010年4月 日本小児救急医学会 優秀論文賞(学術論文4にて受賞)
3. 2019年3月 自治医大地域医療奨励賞(教育部門)
〇所属学会
・日本小児科学会、日本小児神経学会、日本小児救急医学会、てんかん学会、日本周産期新生児学会、AOCCN (Asian and Oceanian Congress of Child Neurology)
現在に至るまでの経緯
私は岩手県旧川井村の出身です。ここは学習塾も本屋もなく、あるのは大自然のみ。小さい頃の私は、姉や友達と山菜取りや農作業、木登りなど外遊びばかりの毎日を過ごしていました。勉強は田舎の学校でしかしたことがありませんが、なぜか得意で、父の死をきっかけに中学の先生方にも勧められて医師を志しました。母子家庭で金銭的な余裕はないため、義務年限を承知で盛岡一高から自治医大に入学しました。卒後は、自治医大の同級生と結婚し、2人男子を出産しました。主人とは現在まで勤務地がずっと別々で単身赴任のため、周囲の理解と協力を得ながら子育てと仕事の両立をしています。弱者に寄り添う医師になりたいと思っていたので、話すことも歩くこともできない新生児を含む小児科を選びました。病気に負けず日々たくましく成長発達してく子供達からは逆にパワーをもらう毎日です。義務終了後岩手医大に入局し、現在に至ります。
両立の忙しい日々に必要なのは、優先順位をつけ、高いものからさっさとやってしまう習慣と、順位の低いものは、中途半端でもよし、と開き直る気持ちだと私は思います。すべての時間を自分自身に使えていた若い頃は、大抵のことは努力次第でなんとかなるものと勘違いしていました。しかし自分の意思ではどうにもならない別人格である家族をもち、子育てをすることで、実は自分一人の力だけではできないことだらけであること、できないことは世の中の制度や周りの人たちを信頼して頭を下げることなど、現在進行形で多くのことを学ばせてもらっています。また、育児や家事に時間を割かれることは、仕事面でマイナスになるのではないかと心配した時期もありましたが、この経験こそが忍耐力や継続力となり、とても役立っています。
私の専門は小児神経学で、研究テーマは、早産児のProton magnetic resonance spectroscopy:MRSです。早産児は通常の形態画像のみでは説明できない、さまざまな合併症をかかえることがあります。MRSは被ばくをすることなく、脳の形態学のみならず、生化学的物質の評価が可能で、合併症の原因や神経発達の予後予測に有用な可能性があります。今後は重症仮死の脳低体温療法や代謝性疾患などにも評価法の一つとして応用し、学会や論文で発信していく予定です。
当小児科医局は、最年長女医である私を筆頭に、年々女医さんの入局も増え、子育て中もたくさんいて活気があります。子育て経験者の私は、両立の素晴らしさと大変さを理解し、若い人たちに共感とアドバイスができるよう、気軽に相談できる窓口的役割を目指したいと思っています。
学生さんへのメッセージ
私は仕事を継続しながら、家庭や子供を持つことで、人生の幅が広がり深いものになりました。仕事も私生活も他人と比べたり他人からの評価を気にしすぎないことが肝要です。近年、職場の理解や子育て支援が徐々に充実し、多様性が認められつつありますので、ぜひ欲張って、やりたいことはあきらめずにトライしてみてください。
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